狼達の晩餐 15   @AB CDE FGH IJK LMO PQR




三勝三敗。 暗部といえば力ずくで物事を動かす者達の代名詞、殺しが得意なだけの忍びのくせに。
なのにその隊員をここまで敬服させている火影様。 ふふ、またあなたの子飼いの忍びが死んだわよ?

いくら死に近くても同じ隊からそんなに死人は出せない。 安全策でね、次の駒は違う部隊にしたの。
暗部の他の部隊と合同任務があったら、その隊の男に遺書を届けさせてから死んでね、って。
木の葉の暗部の結束力は他里と比べたら、比べものにならないぐらい強いとは聞いていたけど。
誰かの死に際に頼みごとをされたら、叶えてやるのが仲間だ・・・・ なんてね、笑っちゃうわ。

こういう時にはそれが仇になる。 その結束力のおかげで、一人ずつ確実に蜘蛛の巣へ誘い込める。
火影様、長所は短所でもある。 木の葉の暗部は、あなたへの忠誠心と仲間の結束力が弱点よ。

私はね、力ずくで白を黒と言わせるのに、結局肉欲には勝てない、そんな馬鹿な男達が大嫌いなの。
あなた達がほんの一握りの例外でも、男というだけで憎悪の対象になる、憎みながら生きてきたから。
私の中の憎しみを悟られたら負け、私は死ぬわ。 忍びは騙し騙されて、生き残った方が勝ちだもの。





ふふふ、ようこそいらっしゃい。 三度目の正直も駄目だったから、ちょっと脱力していたところ。
今までの男と雰囲気が違うから、すぐに他の部隊の隊員だと分かった。 やっぱり結束力は仇ね。
強い結束力は何にも勝るけど、自己判断して個人行動をとらせてしまう、もろ刃の剣でもあるのよ?


「・・・・? あなた・・・は?? 私のあの人は・・・・ どう・・・・ したの?」
「死んだ。 違う部隊のヤツだが、おれが最後に頼まれた。 これを届けてくれ、と。」
「!!! そんな・・・・ あの人が死ぬわけない、あの人、が・・・・ あぁ・・・・」
「・・・・・・泣いてくれるのか? おれ達、忍びの為に。」

そうよ? 私の声をあなたの脳の中枢に刷り込ませる為に。 そしてこの涙は立派な武器ですもの。
ふふふ、この涙に触れてみたくなった? あなたは無表情だけど行動的なのね、嬉しい誤算だわ。
・・・・・指先が凄く冷たいわね。 でもよく言うでしょう? 指先の冷たい人は臆病者だ、って。
臆病者は一人じゃ生きて行けない・・・・ そういう人間は、誰かに触れていたいものなのよ?

「駄目よ・・・ 私に触れては駄目・・・」
「おれの前で泣くからだ。 おれが泣かせたみたいで、な。」
「ごめんなさい・・・ でも・・・・ 私に触れたあなたに今度は死が降りかかる・・・・」
「ふっ。 ・・・・・そうなのか? だがおれは死んでないぞ。」

私の頬を包んで目元を親指で拭った、臆病者のあなた。 ふふ、でも女の扱いには慣れているのね。
もっと触れていいのよ?  私を案じて触れてくれる男は皆、死んでしまうの、ごめんなさい・・・・
私に触れたせいで・・・・ 木の葉の暗部が死んでしまうなんて・・・・ 自分が許せないわ・・・・

前の彼も、その前の彼も。 私は男を不幸にするのね・・・・  ふふ、そして殺すのが大好きなの。

「皆私を置いて逝ってしまったの・・・・ せめてあなたは無事でいてほしい・・・・」
「ふっ。 ・・・そんなに心配なら毎日来てやろうか?」
「ああ、あなたの生きている姿を見れるなら、私は男を不幸にしないって思える・・・・」
「じゃぁな。 この手紙は確かに渡したぞ? アイツの遺言だからな。」

ありがとう、私の涙を拭ってくれた優しいあなた。 たまにでいいの、無事なお姿を見せて下さいね?
・・・・・・・そうしたら。 私にもっと触れてみたくてたまらなくなるわ。 そして抱きたくなる。
次も来る、そう約束した男が来なかった試しはないもの。 ふふふ、私の味を知って虜になればいい。
指先の冷たい臆病な男。 口数は少ないけれど、とっても情熱的みたいね、楽しみだわ。

さあ、火影様。 次の餌が来たわよ? この彼は、あなたを殺してくれるかしら? ふふふふ・・・・。





「「「「三代目、お話があります。」」」」
「なんじゃお主ら、そろいもそろってワシを待ち伏せか?」

「親父様! アタシの部下は他里のクノイチに殺られたんだ。」
「最近の隊員の死の裏に、あの遊女が関わっています。」
「情報分析部に凍らせた女の涙を持って行って調べてもらった。」
「神経系の毒が検出されました、中毒性の媚薬効果も。」

「・・・・・そこまで体を作り変えるとは。 ・・・・・人見の里かもしれんの。」

「人見の里? あそこは男を殺さず拉致するんじゃ・・・??」
「クノイチばっかりの小さい里ですよね、確か・・・・」
「ウチの隊員が、拉致に抵抗したのかもしれないな・・・・・」
「・・・なんでもいいよ。 アタシに狩る許可をおくれ。」

「・・・・・・いや、もっと・・・・ 裏があるやもしれんぞ?」
「「「「????」」」」