狼達の晩餐 18
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里の上層部の一人、志村ダンゾウの寝床。 狩って来た忍びの首を、天井からボトボトと落とした。
はい、お土産。 どっかの抜け忍と、操ってたクノイチ達の首。 なかなか手強かったヨ、あの里。
三代目の暗殺だけじゃなく、オレ達も里から排除する予定だったらしいケド。 残念だったねぇ?
全部潰してきたカラ。 これで何度目? アンタも懲りない男だネ。 しつこい男は嫌われるヨ?
「どれも高額賞金首、さすがは猿飛直属 木の葉の暗部、見事だ。」
「・・・・・・まーネ。 こうなるのは分かってたよネ?」
「あの里は小さいながらも脅威ゆえ、遅かれ早かれ潰さねばならん、そうだろう?」
「・・・・へー。 今回の事は全部、里の為だった、と?」
でたよ。 どうせこんなコトだろうと思ってたけどネ。 失敗した時の為の言い訳も考えてたんだ?
あーあ、ヤダヤダ。 確かに、裏で糸引いてたのがアンタだという証拠はナニもないけどネ。
調べたって、あの里に暗殺依頼に行かせたのは、どうせアンタの子飼いの“根”の誰かでショ?
根のヤツらには、アンタに関する話を喋らせない呪印を施してるもんネ。 トカゲのしっぽ切り、か。
「あの里を一日で潰すとは。 暗部の部隊長達を怒らせるものではないな、ははは。」
「・・・・・そーだヨ? オレ達を怒らせるモンじゃない。 例え上層部のアンタでもネ。」
「罠を仕掛けたかいがあったというもの、あの里は少し、暗部を甘く見過ぎたのだろうな。」
「・・・・・・・あくまでも。 人見の里壊滅が目的だったと、シラをきるつもりですね?」
もしもその理屈が通るなら、アンタは三代目を餌にして暗部の隊員を撒き餌にした、ってコトだヨ?
それってサ、火影に対する謀反だよネ? この里を裏切るのと同じコトだと分かってる?
・・・・・仕掛けたのは人見の里のクノイチ? 方法までは指定していない?! ナニそれ。
あの里のクノイチが男を操るぐらい、アンタ知ってたでショ? ふざけてんの?!
「ウチの暗部を怒らせて、あの里を葬ろうと思っていただけだ、まさか死人が出るとは・・・」
「・・・・・フ〜ン? そうやって三代目に報告するつもりだったんだ?」
「暗部まで操るとは。 やはりあの里は恐ろしい里、早めに潰して正解だったな。」
「・・・・・あなたを見ていると、ボク達がまともな人間に思えますよ。」
全くだ。 今回のコトは、こうやってうやむやにされるんだろうネ。 三代目もそれは予測している。
クソが。 こういうヤツに限って、いざ里が襲われたりしたら、どこかに雲隠れするモンなんだヨ。
オレ達は三代目を尊敬してるし里を愛してる。 ケド、ナニよりも里に住む仲間達の為に戦う。
考えなしで動いて、行く行くはその里の誰かが逆恨みされるような、そんなやり方は絶対しないヨ。
そこに住む民、仲間の為・・・・ それに今は誰よりもイルカの為に、人であろうと努力している。
そういう情を失くしたら、忍びは人ではなくなる。 アンタは自分のコトしか考えてないデショ。
甘い? 情にもろい? 違うネ、三代目はいつだってそこに住む者のコトを一番に考えてるダケ。
今回の事も、一人でも残したら、木の葉の里が必ず復讐の的になる。 それは断ち切れない負の連鎖。
だから三代目は粛清という決断を下した。 全員を一緒に逝かせてやれとは、そういうコトだヨ。
アンタはただ、利用するだけ利用して用済みになったら切り捨てたダケ、その後のコトを考えちゃいない。
余計な恨みの芽を綺麗に摘み取り、里の民や仲間を守ったのは結局アンタじゃない。 木の葉の火影だ。
「自我の強いアンタのケツはネ、いつも三代目が拭いてるってコト。 それを忘れるんじゃないヨ。」
「ボク達忍びは人とは言えません。 けど里の忍びはそうあろうと努力している、あなたと違って。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ア、そうだ。 もしイルカを利用したら、三代目がどう言おうとアンタも根も潰す。 いいな?」
「ええ、どこまでも追いますよ。 二頭の怒り狂った獣、そんなボク達を。 振りきれますかね?」
「・・・・・・・・・・覚えておこう。」
「いつか狩ってやろうと思ってたんだ、だから燃やさないでカオルに凍らせてもらってた。」
久しぶりね、あなた。 喉を突いて自害してから凍っていたの? ふふふ、こういう事だったのね?
私は彼女の部下のこの彼の、生贄にされるのね? 私もまさか、こんな最期は予想していなかったわ。
生きたまま・・・・・ 地面に埋められるなんて。 カオルさんが動けない様に私を凍えさせたの。
彼女がね、ああ、あなたの班の部隊長だったわね、そうそう、そのアズサさんが神経を切ったのよ?
指も動かせないわ、印が組めないの。 舌も動かせないのよ、噛み切れない、酷いわよね。
あなたの為に私を一緒に埋めるんですって。 アズサさんは今、どんな顔をして土をかけているのかしら。
鳥の面が邪魔で、その表情が見えないのが残念だわ。 きっと凄く残酷で美しい笑顔だと思うの。
「アタシはね、アンタがクノイチでも遊女でも何でもいい、馬鹿な部下を慰めてやって欲しいだけさ。」
この私が、男の為に生かされて死ぬ。 長、私がこの世で一番嫌いな男と一緒に、死ぬんですって。
でも・・・ 何かしら、この冷たい彼が横にいるだけで・・・・ 淋しくないの・・・・ 不思議ね。
神経を切られたから 呼吸も苦しく、ない・・・・ ただ・・・ 真っ暗で・・・ 何も 見えな・・・
「アンタは自分の武器を使っただけ、恨んじゃいない。 忍びは手の内を読まれたら終わりなのさ。」