小さな恋の行方 14
@AB
CDE
FGH
IJK
LNO
PQR
S
月の国で知った情報は、ひとりの諦めの悪い男がいる、と言う事。 美咲様を忘れられない国の道具が。
雷の国の閃〈せん〉一族は、この道具が本当に自国に有利な者かどうか、考えた事があるのかな?
まさか国主自らが関わってはいないと思うけど。 三男だから目が届かない、なんて言い訳にならない。
雲隠れの里 雷影は、自里のこの行動を容認したのか? 10年前、自国の非を潔く認め、戦いを退けた。
いや、あの雷影が認めるはずがない。 里の忍びの独断だとしても、雷影は泥を塗られた事になる。
カカシ先輩が、四代目の形見の三又クナイを取り出した。 ここを移動拠点にするつもりだ。
「クナイをわからない様に、樹木に仕込めばいいんですね?」
「ウン、ヨロシク。 この森の中なら行き来しても怪しまれない。 でショ?」
「了解です、ではいきます。 ・・・・木遁! 樹海降誕っっ!!」
「おー バッチリ他の木々と同化してる・・・・ よ、初代火影の生まれ変わり!」
初代様の生まれ変わりか、よく言われる。 大蛇丸の残した不要な実験体だと言われていたボク。
処分しようとまでしてたのに、急に手の平を返し、やれ初代様の術だ、やれ生まれ変わりだ、里の誉だと。
そんな中でイルカは言った。 ボクはボク、初代様の生まれ変わりなんて厚かまし過ぎる! ってね。
実際、初代様の木遁秘術 樹海降誕は、こんなもんじゃない。 ボクの木遁は初代様とは、完全な別物。
「これで見つからずにいつでも行き来できますね・・・・ ってか、ボクもイルカを思い出しました。」
「実はこのフレーズ聞くと、あの時のイルカを思い出すのヨ。 ぷっ! ご意見番のあの時の顔!!」
「くすくす! ホムラ様とコハル様の、あの顔!! もう、さすがイルカ、って思いましたよ。」
「オレ達と一緒にいて、自分がつまんないコト言われてたから、無言の抗議だったんだよネ。」
そう、三代目の屋敷に入り浸ってるから、火影の稚児だとか。 でもそこは、雑草魂の持ち主イルカ。
つまんない事を言う輩にはキッチリ仕返ししてた。 得意のイタズラで。 ばれないようにコッソリと。
よもぎ餅に踏んだ雑草混ぜたり、キビ団子におがくず混ぜたり、おはぎに兎の糞混ぜたりしてプレゼント。
うみのさんちの息子さんは気が利くねー なんて喜ばれてた。 で、ご意見番にやったイタズラが傑作。
「『ホムラ様、コハル様、稚児の生まれ変わり うみのイルカです』・・・・・くすくす!」
「『柱間様のコトを忘れてて ごめんなさい』って、ご意見番の前で服脱いで・・・・ アハハハ!!」
「腹に【木の葉創設 伝説の稚児】って、デカデカと書いてあって。 ははは、あれ最高でしたね!」
「あげくシナ作って、踊りだしちゃうし! もう、ふたりとも目がテンになってたよネ! クスクス!」
『稚児なんぞ言っとる馬鹿はどこの誰じゃ!!』って、すごい勢いで三代目に抗議しに行ったご意見番。
ところで稚児って何か知ってる? って聞いたら。 裸でクネクネ踊るんじゃないの? だって!
大爆笑したっけ。 イルカの腹に書いたのと入れ知恵したのは、きっとうみの夫妻だな、って思った。
三代目やボク達が何を言われてもまったく気にしないもんだから、イルカは密かに腹を立ててたんだよね。
あの甘味プレゼント攻撃もそう。 被害者は、ボク達の事を中傷するヤツら。 ようは仕返ししてたんだ。
『外側だけ見て、中に何が入ってるか確かめないのはバカちん。 里の忍びなら気付くだろ!』 って。
いやしかし、確かに食べても害はないけどね? イルカのイタズラは、いつもボク達を笑わせてくれた。
「・・・・帰ってこの報告をしたら・・・・・ 狩野さん、ショックだろうな・・・・。」
「数年前、水面下で進められてた縁談。 それが原因でカズミが殺されたと知ったら・・・・。」
「可哀想ですよね、国を背負う人というのは。 完全な道具にならなきゃならないなんて。」
「オレ達 忍びも里の駒。 でもサ、木の葉隠れには選択の自由がある。 まだマシだーネ。」
「・・・・・ムチャクチャ待ったケド。 待ったかいはあった、そうでショ?」
「ええ。 ・・・・・ボク達のイルカは、いつだって気持ちを隠さずくれる。」
「ストレート過ぎて、煽られっぱなしだけどネ?」
「あの無意識のキス、なんとかなりませんかね?」
「「・・・・・・・・。」」
「「昨日、散々食べたのに、もうイルカが喰いたい!!」」
ちなみにカカシ先輩もボクも、甘いモノを口にしない。 イルカは甘いモノ結構好きで、よく買ってくる。
謎なモノなんて入ってないって知ってるけど・・・・・ ね? なんとなく・・・・ トラウマ? みたいな。