小さな恋の行方 15
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飛雷神の術式が施されているクナイを仕込んできた、と三代目に報告。 これでいつでも飛べます、と。
火影室の奥の間に、もともとある術式結界。 緊急時、そこから目印のある各地に時空間移動できる場所。
四代目が考案して、部屋そのモノに飛雷神の術式を組み込んだ。 もしもの時、退路として使えるように。
人柱力のクシナさんを守る為に作ったんだ。 けど・・・・ その努力も虚しく、部屋だけが残された。
敵も時空間忍術を扱えるなんて、思ってもみなかっただろうからね。 今は立派に三代目が有効利用してる。
飛雷神の術でいつでも飛べるケド、誰でもってワケじゃない。 時空間移動に耐えられられなきゃ、ね?
一般人なら、肉体はバラバラに砕けて骨も残らない。 時空の狭間に呑み込まれて、はい、サヨウナラ。
「そんな・・・・。 雷が絡んでたなんて・・・・・。 しかも元々はカズミ様とのご縁談・・・・。」
「・・・・・今の段階では、あなただけが真実を知る者。 さて今一度、依頼人の希望を聞こう。」
「我が国の道具なら。 雷を刺激しないように、かつての婚儀を復縁させたほうが良いと思います。」
「それは、美咲様側仕えが要人 狩野としての見解。 里に来た依頼人の希望ではない、と思うが?」
その通り。 それに里は、あの時戦争回避の為に流した、日向ヒザシの犠牲を、忘れられるワケがない。
炎の一族は己を殺し、それで納得するかもしれないケド。 火影様と木の葉はそんなコト許さないカラ。
なにも戦争しようというワケじゃない。 あくまでも秘密裏に。 まだ誰も知らないコト、そうデショ?
ここまで美咲様のコトを思い、カズハ様のコトを思い、やって来た狩野さん。 本音を言えばイイのに。
「火影様!! そんな・・・・ わたしに国を危険にさらせと言うのですか?! 木の葉の忍びを!!」
「危険も何も、月の国の裏事情など、火の国の誰も知らん。 おそらく時宗様もじゃ。」
「もし。 もしも雷の国の三男の死を望むのであれば、わたしは争いの火種を起すことに・・・・・。」
「あいわかった。 依頼人の希望、しかとこの耳で承りましたぞ?」
「お、お待ちください、火影様っ!! わたしはもしもの話を・・・・」
「さて、そうだったかな。 ワシには心の叫びに聞こえたが? おぬし達はどうじゃ?」
「はい、ボクにも、ただの任務依頼内容の変更に聞こえました。」
「確か隠密で里に来てたんじゃ・・・・・ なかったでしたっけ?」
そう、やっと言えたネ? あの国の道具にもならない公子の暗殺を。 オレにも、確かにそう聞こえたヨ?
それにコレはきっと戦争にはならない。 雷の国 雲隠れの里 雷影が、きっと身内の落し前をつけるハズ。
あの時、日向の首が、当主ではないと知っていて、その意を与し、戦争回避に協力した、あの雷影なら。
自国の恥さらしを、生かして置くワケがない。 三代目が会談がてら、雲に行って話せば済むコト。
「炎一族に過ぎたるものふたつ有り“木の葉の里” と “火の国の民” いつも時宗様が申され・・・・。」
「狩野殿、泣くには早すぎますぞ? まだ何も解決はしておらん。 まぁ、時間の問題じゃがな?」
「うぅ、うぅ・・・・ はい。 このコトは、わたしの胸にだけ秘めておきます、死ぬまでずっと。」
「・・・・どれ、わしに見つかり歓迎の儀を受けていると、美咲様には、伝えておこうかの?」
「火影様・・・・・。 はい、ではわたしは翠屋で、おとなしく解決を待つ事に致します。」
「うむ。 そうさな、役に立ちたいとウズウズしとるヤツがおる、伝令に使うか。 よいな?」
「んー、美咲様の元にならかまいませんヨ、国主でなきゃ。」
「念の為、コードネームを与えて頂けると、安心出来ます。」
「?? 国主に見つかるとマズイ方がいらっしゃるのですか??」
「・・・・・てか、城に召し上げられちゃ困るの。 せっかくラブラブなのに。」
「相談役や、教育係なんてのになっちゃったら、里に帰ってこれないですもん。」
「・・・・・・あ。 もしかして・・・・ イルカさん??」
ご名答! イルカは琴音様暗殺について、コトの一切を時宗様に打明けろと言った。 で、気に入られた。
女だったら、側室として持っていかれてたかもしれない。 あーーーー クソッ! また腹立って来た!!
イルカめ! 帰ったらくちゃくちゃにしてやる! 伝令に走るぐらいの余力は、残しといてあげるけどネ?