小さな恋の行方 3
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なんと美鈴ちゃんからお願いされちゃった! 美鈴ちゃんは、セト先生が僕に残してくれた宝物。
今は僕の家で、母さんと一緒に三人仲良く暮らしている。 彼女を知る度に好きになる、これって恋?
美鈴ちゃんの頼みはどんな事でも叶えてあげたい! ・・・・・って、母さんに言ったら笑われた。
『風琴守世度の弟子が、立派に餌付けされちゃって、まあ。』だって。 餌付けって、なにさ!
「イルカ先生ーーーーっ!〈バンッ!〉 !!!Ω☆Θ§ΨΣ!!! ごめんなさいっっ!!」
ぎゃーーーっ! 浮かれ過ぎてて忘れてたっ! イルカ先生の家には恐ろしい番犬が二匹いる事を!!
玄関を開けたらイルカ先生の微かな悩ましい声が! 聞いてないから! 何も聞こえてませんからっ!!
不可抗力でしょう、これ?! 鼓膜つぶされないよね? 瞬身でお向かいの屋根に移動してしまった・・・・。
鍵なんて忍びには意味ないけど、入口に幻術トラップしかけて! とか。 せめて結界を張って! とか。
「そんなトコで何してーんの、真田中忍? 入って来なヨ。」
「お〜い、ヒカルー! 俺今さー、足ふにゃふにゃだからー。」
「・・・・先輩、真田中忍勘違いしてるんじゃないですか?」
「足ツボマッサージを、何かと間違ったとか、ね?」
「・・・・・・・あ、し、ツボ・・・・・。」
「・・・・・まさか恩師の喘ぎ声だと思った、とか?」
「・・・・・あははははは・・・・・ お邪魔しまーす。」
「「きゃ〜 真田中忍のエッチ〜〜〜〜!」」
「そ、そんなんじゃないですっっ!! もうっっ!!」
よく考えたら、このふたりがイルカ先生のそんな声、聞かせるはずなかった。 イルカ先生限定の狛犬。
暗殺戦術特殊部隊の司令塔、部隊長と補佐。 文字通り、木の葉隠れの里の番犬、火影様の両腕だ。
忍びがそんな事しないってわかってるけど、玄関に貼り紙を出してほしい。 番犬、猛獣につき注意って。
・・・・・なんて、言えるものならとっくに言ってる。 そんな発言、寿命を縮めるだけだから絶対駄目!
「・・・・・・と言う訳なんです。」
「俺、会ってみる、その狩野さんって人に。 で、判断する。 それでいいか?」
「「・・・・・・。(・・・・狩野?)」」
「えへへ、やった! 美鈴ちゃんに褒めてもらえる!!」
「おお〜 お前もしっかり番犬してるな?」
「もう! イルカ先生も母さんと同じこと言うっ!!」
「でもって、ご褒美はしっかりもらうんだぞ? あははは!」
「!!!! イ、イルカ先生って、ほんとデリカシーないっっ!!!」
い、いくら一緒に暮らしてるからって当然のように! ま、まだキスのひとつもしてないのに!!
なんでイルカ先生はこうなの?! こんなっ! こんなストレートに・・・・・・ 裏表なく・・・・・。
忍びはいつ死んでもおかしくない。 実際ここ二週間で、僕もセト班のただひとりの生き残りになった。
なんとなくだけど、カカシ上忍とテンゾウ上忍が、なんで先生と一緒にいるのかがわかる気がする。
「・・・・お、お礼にキスして、って言ったら、その・・・ してくれると思う?」
「木の葉の中忍、風琴守世度の愛弟子に頼みごとしたんだ、当然の報酬だろ。」
「・・・・・そ、そうかな・・・・ えへへへ!」
「あーーーー 真田中忍、ウルトラリトルラブを壊して悪いんだケドさ・・・・。」
「キスでもセックスでも強請ればいいよ、その狩野さんって人は今どこに??」
「な!!! セックスはもうちょっと待て、ヒカル! な?」
「教えて下さいセト先生、なんでこの人達はこうなんでしょうか・・・・。」
番犬のふたりは、イルカ先生が依頼人と受付所外で会うのが嫌らしい。 一緒に行くと言って聞かない。
気持ちはほんのちょっとわかる、かな? 僕も、美鈴ちゃんが知らないところで異性と会うのは嫌だもん。
薔薇城の護送任務に行った時も、結局最後まで一緒だったし。 女官にイルカ先生が見下されたと知った時。
あの時は背筋が冷たくなった。 その・・・・暗部の気? って言うヤツかな、研ぎ澄まされた刀の様な。
「確か・・・・ 先生の慰霊碑の一番近くの宿をとってる、って言ってましたけど・・・・。」
「ん、わかた。 それだけ情報があれば十分だーヨ!」
「あそこから・・・・・ 【翠屋】〈みどりや〉ですかね。」
「この前ご主人が佐上上忍の髪に合わせて、藍屋〈あおや〉にしようか、とか言ってましたよ。」
「侮れないですね、風琴守人気って・・・・。 セト先生怒らなきゃいいけど・・・・。」
「ヤツら風遁デコピンされるよネ、そのうち!」
「勝手に真実の愛の女神にするな、ってね?」
「「「「ふふふ、あはははは!」」」」