誰が道を歩くのか 10
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えっと・・・・ というコトは・・・・ オレの気になるあの子が、もうすぐここに帰ってくる、ってコト?
ン? チョット待って? アスマがテンゾウの恋人候補だって言って、紅とブラコン対決してるケド・・・・
それって、テンゾウもその子と青春したいと思っている・・・・ というコトだよネ? テンゾウ、そうなの?
アー ウン。 そうそう、目が合ったんだよネー ウンウン。 そんで “ニッコリ” って・・・・ ウンウン。
「前からチョコチョコ見かけるなぁ、って思ってたケド。 そうか・・・ 潜入員だったんだ?」
「いっつも火影室の中で見かけたんですよね、そうか。 定期報告をしに来てたのか・・・・。」
「でも他の潜入員は、オレ達と目なんか合わせないよネ。 コッチから見えないと思ってるしサ。」
「そうですよね、三代目の目くらましの術が上掛けされてますから、そう思ってるんでしょう。」
そうなんだよネ。 まだ市井に潜入中の潜入員には、三代目が身の安全の為、目くらましの術をかけるのヨ。
何処で誰が何をしているか。 それを同じ木の葉の忍びの口から流せるワケないじゃない。 だから。
ひとの噂は本人の与り知らぬところで大きく広まって行く。 意識していなくてもそうなっちゃうコトもあるし。
三代目が受付に座っている理由の一つは、依頼人のフリして戻ってきた潜入員に、術をかける為なんだよネ。
自分の気配を殺し、更に三代目の術を上掛けされたら、ほとんどの忍びはそこにいても気付かないんだヨ。
で、報告は火影室、これも安全の為。 火影室で報告するのはほぼ暗部。 潜入員とイレギュラーな時とかも。
消去法でいくと、暗部じゃない、目を合わせて微笑むから潜入員じゃない、だから難解な依頼なのかな、って。
「ああ、多分イルカは暗部に親しみを持ってるんだよ。 おれが色々話してやったからなぁ、あははは!」
「カカシ! やったわよ? 向こうは既に親しみを持ってくれてる! これってチャンスよ?!」
「おう、テンゾウ!! ポニー・・・・ じゃない、イルカは最初から好意的に見てくれてるぞ?!」
「弟はさっきも言ったが、歯に衣着せぬ性格なんだ。 だからおれにも遠慮なんてなくて・・・・ お。」
「シキ兄! ただいまー!! あれ? お客様が来てるの??」
「おー イルカ、お帰りー。 早く来い、仕事だ!!」
「「 あ・・・・・・・・ あの気配・・・・・ 」」
「 へーーー あれが、カカシのイルカね? 」
「 ちげーだろ? テンゾウのイルカ、だ! 」
「どもっ!! ようこそ便利屋しきちゃんへ! お支払いはいつもニコニコ現金払いでお願いします!」
「ははは! 便利屋しきちゃんの基本方針だ。 ちなみに、取り立てはするけど金貸しはしないからな?」
「「「「・・・・・・・・・。」」」」
いつもオレと・・・・ いや、オレ達と目が合うと、決まってニッコリと笑った子・・・ そう、この子だ!
海野イルカ中忍・・・・・ 潜入員で・・・・ ここにシキさんと潜ってて・・・・ 暗部に偏見がない・・・・
どうしよう、紅! オレ・・・・ ドキドキが収まらない。 自分の心臓の音が5.1サラウンドで聞こえるヨ。
「シキさんの予想した通りだった。 20年前の、三笠屋から役所への訴えは、ロクに調べもせずお蔵入り。」
「あの時代の事だ、三代目に言われて・・・・ おれももしや、と思ったんだが・・・。 そうか。」
「・・・・・で、夫妻に暗示をかけて聞き出してみたんだ。 そしたら、やっぱりお嬢さんが殺してた。」
「・・・・・・やっぱりか。 微かだが緑と黄のオーラみたいなのが見えてたからな・・・・。」
「色のオーラって・・・・ ねえ、シキさん、チャクラ質の色なんですか?!」
「って事はよ・・・・ 緑色と黄色だろ? 風遁と雷遁って事か?!」
「ああ。 間違いない。 あのお譲さんは忍びの気質を備えている。 しかも二重類も、だ。」
「・・・・・・もし同時に発動できれば・・・・ 上忍の器ってことですね?」
「「・・・・・・・・・・・・・。 〈ドキドキ・・・・〉 」」
ヤー あの何とも言えないニッコリもイイけどサ。 こう・・・・・ キリッとして話してるのもイイよネ?
“同時に発動できれば上忍の器” とか! オレも上忍! しかも相反する気質の雷と水を同時に操れるヨ?!
なんて。 思わずどうでもイイコトをPRしそうになっちゃった・・・・・。 頼りにされたいのヨ、なんか!
テンゾウもね、水と土だもんネ? アスマは風と火、紅は火と土、オレ達に任せておきなヨ! なんちゃって!
「じゃぁ、皆さんが来て下さったのは・・・・・ って!! じゃますんなっ、オラッ!! 〈パシッ!〉 」
「「!!!!!!」」
「ちぇっ! いつもケチくさいなぁ。 ちょっとぐらいゴロゴロさせてくれてもいいのに・・・・」
「シ、シキさん?! 今、イルカの顎を・・・・ 触ろうとしたの??」
「・・・・おい、そりゃ セクハラっていうんじゃねぇか? シキさんよ。」
「いや、あんまりカワイイからつい、ね。 でも凶暴だから撫でさせてもらえない・・・・ シクシク・・・・」
「当たり前だろっ! 俺は猫じゃねぇ!!」
「「・・・・・・・そういう問題??」」
「「・・・・・・・・・。 (撫でてみたいかも・・・・・) 」」
シキさんがイルカの顎を撫でようとして叩かれてた。 でも、オレもその気持ち分かる・・・・ 撫でたいもん。
でもさきからドキドキして、まともに口もきけないでいる。 ・・・・・ン? テンゾウもそうなの??
ウン、こんな近くにイルカが・・・・ あ、そうか! 5.1サラウンドだったのはテンゾウの心臓の音も、だからだ!