誰が道を歩くのか 7   @AB CDE GHI JKL MNO PQR S




う〜ん、随分と良い男と良い女になったなぁ、アスマ、紅。 潜入員の繋ぎにお前達を寄越すなんてな。
里に帰らなくなってもう何年も経つ、三代目の粋な計らいだな、ははは! 懐かしい顔を見れて嬉しいよ。
記憶にあるお前達はまだケツの青いガキで・・・・・ ああすまん、すまん! 任務の話だったな、あはは!
この町でのおれは便利屋のシキさんだ。 落ち葉拾いから自殺現場の清掃まで、何でも引き受ける。

少し前の事だ、この国でも有名なかんざし屋に呼ばれたんだ。 そう、大名家ご用達のあの三笠屋だ。
で、行ってみたら・・・・ 四つぐらいの子供がな、死んでたんだよ。 どう見ても自然死じゃなかった。
聞けば、お嬢さんが夢の国で落札した子で、専属の下働きにと、連れ帰って来たらしいんだな。

あそこの旦那夫婦もあの番頭さんも、立派な人達だ。 行く行くは養子縁組をしようと思っていたらしい。
お嬢さんもその子を可愛がってて、お店の事も色々教えて。 娘がそんなに気に入っているなら、とね。
その矢先にその子が死んでしまった。 どう見ても殺されていたんだ、役所へ行く事を勧めたんだが・・・・
どうしても表ざたにしたくない、まだ籍を入れてないからこの子はどこの子でもないと、そう言ってなぁ。

おれはあの店がどういう店かよく知っている。 真っ当な人の良い善人夫婦だ、それはあの番頭さんも。
あんまり考えたくはないが、もしかしたらライバル店の嫌がらせなのかもしれない、とも思えてな・・・・・
事情があるなら木の葉を訪ねろと言った。 蛇の道は蛇、報復の暗殺依頼なら里の忍びが対応するだろう?

「ところがイルカが聞いた話はそうじゃないんだ。 ああ、イルカっていうのは同じ潜入員で・・・・」
「「イルカ・・・・ 便利屋に居る潜入員は他にイルカだけ??」」
「ああ、ここにはおれともう一人、若い潜入員の“弟”が居るんだ。 ちょくちょく里にも・・・・・」
「「!!! ポニーだっ!!」」

ポニー?? ああ、あの髪型な? あはは! 馬と一緒じゃ可哀想だろう、ちょんまげと言ってやってくれ。
本人も、今日のちょんまげ決まってないですか?! なんて、結いながらよく言ってるしな! あははは!
シカクさん、イノイチさん、あと親父さんやサクモさんの影響らしいぞ? 長髪は男らしいと思ってるんだ。
“弟” っていうのは、この便利屋しきちゃんでの役柄だ。 里への定期報告に、よく行ってもらってるんだよ。

「「ポニー・・・・ じゃなかった、イルカはどこに?!」」
「イルカは今、その三笠屋で、過去何があったかを調べてる。 ちょっと気になる事があってな・・・・・。」
「ち、まだ帰ってねぇのか・・・・。 しゃーねーな。 まだ勝負はオアズケだぜ、紅。」
「フン! 第一印象ならアタシの勝ちよv この美貌で最初に話をきかせてみせるからーv」

「・・・・・・・・なあ、お前らが仲が良いのは分かったから。 話を元に戻していいか?」
「「シキさん! 今の会話のどこが仲良く聞こえました?!」」
「・・・・・・・・ほら。 息ピッタリじゃないか、あははは!」
「「・・・・・・・・・・・・。」」

「あー コホン! あのな、どうも・・・・ そのお嬢さんが・・・・ 殺してしまったらしい。」
「「・・・・・・・え。」」
「三代目が聞いた話だと、幼少時強盗に入られ、目の前で弟を殺された・・・・ 無意識殺人、ってヤツだ。」
「「じゃぁ、里にした依頼っていうのは・・・・??」」

そうだ。 全てをなかった事にして、お嬢さんの恐ろしい記憶を完全に消してくれ、というものだったんだ。
まあ、その子はオークションで落札して買った子だ。 持ち主がどうしようと自由だからな・・・・。
身寄りのない子が一人居なくなったぐらい、いろんな言い訳が出来る。 迷子だとか誰かに攫われた、とか。
実際もう、あの子は火の国が珍しくてつい出かけてしまい、そのまま帰って来ない、って事になってるんだ。

「アタシ達、夢の国に行ってオークションに参加しろ、って言われたんですよ、三代目に。」
「巣で潜入員から詳しく話を聞いて、協力しろ・・・・ そうも言ってたな、確か。」
「・・・・・・・なら、もう少し待ってくれ。 イルカが三笠屋の過去を探ってくるまでな。」
「「・・・・・シキさん。    イルカって・・・・・・・ どんな忍び??」」

「そうだな、一言で言うと・・・・ カワイイ奴、だな。」
「「・・・・・・・可愛い・・・・。」」
「何事も一生懸命で前向きで。 素直で面倒見がよくて・・・ で、歯に衣着せぬ性格でな・・・・」
「「全然、一言じゃないけど・・・・・・。」」

「あははは! すまんな、つい・・・・ 懐いてくれてるからカワイくて・・・・・  !!! 誰だっっ!!」
「「!!!!」」

・・・・・・・なんだ、暗部か。 脅かすな。 潜入員のいる巣に入る時は気配を殺すなよ。 殺っちまうぞ?
お、カカシじゃないか!! おれだ、お前が入隊した時、補佐だったシキだよ! 今や部隊長はってんだって?
ほう、そっちの坊主はテンゾウか。 お前達の噂は聞いているぞ? 暗部の司令塔、黄金コンビ、とかな!
? なんで分かったか?? おれの特殊な眼を忘れたか? 色の残像が見えたんだよ、光りの帯みたいにな。

「アー そうでしたネ。 お久しぶりです、シキさん。」
「あ、ボクは初めてお目にかかります・・・・・」
「三才ぐらいだったかな・・・・ あの実験室から連れ帰ってきたのは。」
「では・・・・ あなたが・・・・・」
「ヒグマとおれでな、大蛇丸の実験室を叩き壊した。」

「テンゾウッ、喜べ!」
「カカシッ、喜んで!」
「「????」」
「やー ほんと仲良いな、お前ら。 実は本物の夫婦か?」
「そうなの?」
「そうなんですか?」
「「・・・・・・・。」」

三代目は本当に粋な計らいをしてくれる。 こんなに立派になった奴らを、いっしょくたに見られるなんてな。
おいヒグマ。 イルカもそうだが・・・・ 里の忍びは、本当にいい忍びが揃っているな。 頼もしいよ。
木ノ葉の枝は幾重にも別れ、たくさんの若葉を茂らせる。 やっぱりおれ達の選択は、間違っていなかったな?