誰が道を歩くのか 6   @AB CDF GHI JKL MNO PQR S




親父が術をかけて保護してたんじゃ、おれも気付かなかった訳だ。 しかし紅・・・・ やるな、アイツ。
まあ、そりゃそうか。 紅は一子相伝の幻術を操る夕日家の幻術使い。 その眼はごまかせない、ってか。
けどまさか、おれが野郎も守備範囲だと思っていたとは。 めんどくせーから野郎は勘弁だぜ、おれはよ。
おう、問題はそこなんだ。 時間がかかっていけねぇ・・・・ って! 痛てーつってんだろう、紅っっ!

「ふむ・・・・ そうさのぉ、丁度いい。 お主達に任務を言い渡す。 あ奴と接触してこい。」
「・・・・・・・・・え?」
「そうじゃ! さらに夢の国に行き、オークションに参加してもらう。」
「・・・・・・・・へ?」

お! 直接本人に会えるらしい。 思ってもみなかったぜ、人目を引くおれ達が潜入員の繋ぎ・・・・ か。
まあ確かにな・・・・夫婦のフリしてりゃ、そんなに目立たねぇか。 あ? 美女と野獣だと?? うるせぇ!
おめー、少しは素直になったらどうなんだ! おれは昔から・・・・・ あ。 ちげーよ、なんでもねぇよ!
紅といるとアカデミー生だった時の、ガキの自分を発見する。 あぶねー 言っちまいそうになった・・・

あー なあテンゾウ。 本人の前じゃ、いつもの自分じゃいられなくなる・・・ これが恋、ってんだ。
まあ、おれは逃がさねぇからな。 里に帰って来たからには、近いうちに必ず紅をモノにする、覚悟しとけ。
いや、おれの事はどうとでもなるんだよ。 そんなことより弟分のテンゾウだ、どうするか・・・・

「つい先日、火の国の三笠屋の番頭から依頼があっての。 同じ町にある巣に行って、繋ぎをとれ。」
「そこの巣に・・・・ ポニーちゃんがいるんですね?!」
「うむ、カカシとテンゾウも後で行かせる。 ちと・・・・ 骨を折る事に成りそうじゃからの。」
「「暗部の・・・・ 部隊長と補佐をわざわざ?!」」

「ほほほ。 幻術使いの紅と肉体派のアスマ、カカシとテンゾウ。 どんな事態でも対応できるじゃろ?」
「「・・・・・・はい。 お任せを。」」
「猿飛アスマ、夕日紅、両名夫婦を偽装し潜入員と接触、任務内容の確認をしろ、よいな?」
「「御意!」」








テンゾウ、今まで頑張って来たお前に、こんなチャンスが来たぜ? おてんと様はちゃんと見てるんだな。
男かおい、めんどくせーな、そう思ったが・・・・ おれはテンゾウが惚れちまってんなら応援するぜ?
・・・・・あ? そういや、なんで紅が気になるんだ?? さっき一目惚れがどうとか・・・ まさか!!
ちょっと待て、そりゃ駄目だ! 紅はおれが近々モノにする予定なんだよ、テンゾウを幸せにしてから!

「・・・・・・紅。 お前、その男に一目惚れしたのか?」
「はぁ?! 何言ってんのアスマ! 違うわよっ! だいたいアタシは一目惚れとか、信じないから!」
「・・・・そうなのか?? や、さっきそう言ってただろう、火影室で・・・・」
「あれは・・・・・ 男だけど・・・・ アスマがそうなのかと思っただけよっ!!」
「「・・・・・・・・・・・。」」

なんだ違うのか。 お。 こりゃ・・・・ 今おれ・・・・・ もの凄くホッとしてねーか、おい。
ち! みっともねぇなー 紅の前だとこれだからいけねぇ。 おれは逆デリ上手と呼ばれた男だぜ?
売り者がえっちらほっちら火の寺まで、自主的に乗っかりに来るんだよ! 上物のデリヘル嬢がよ!
そんな豪華な無料奉仕を受けてた身だ、今更こんな事でホッとしてるんじゃねーよ、どうなんだおれ!

「もう単刀直入に言うわ、アスマ。 なんでアンタがその中忍をそこまで気にするの?」
「や、おれは・・・・・ 紅が・・・・ じゃねぇ! お前こそどうしてだ、ただの中忍だろうが!」
「ただの中忍じゃないわっ! カカシの恋人候補なのよっ!!」
「冗談じゃねぇ! テンゾウの恋人候補なんだよっ!!」
「「・・・・・・・・・・・・え、まじ??」」

・・・・・・あー 紅。 ちょっと話し合おうか。 聞くところによるとカカシは内々の恋人がいるんだろ?
おめーがクノイチにそうほのめかして恥をかかさない様にしてる、ってのは・・・・ 結構有名な話だぜ?
花街でもカカシの派手な噂は聞かねぇし・・・・・ こりゃ、内々の恋人がいるんだな、って皆・・・・
まあ・・・・ ちょっと遊んで欲しいだけのクノイチなら、めげずに色の籠った目で誘うだろうがよ。

「あれはチャラ娘からカカシを守る為の嘘。 テンゾウこそ、火の寺に特定の女を囲ってるって・・・・」
「あー それは・・・・・・ 地陸の・・・・・ 恋人だ。 あと、おれに会いに来てただけだ。」
「「・・・・・・・・・・。」」

おれは本当の事を言うと・・・・・ その中忍の存在に気付かなかったんだよ。 気付いたのはテンゾウだ。
・・・・・・なんだよ、おめーもか! 親父の目くらましの術でも見えたのは、さすが暗部の司令塔だな。
知ってるだろう? おれはテンゾウを弟の様に思ってる。 やっと里に戻ってきたんだ、何かしてやりてぇ。
何の感情も知らなかったあのテンゾウが、久しぶりにおれに教えてくれと言った感情が、愛情なんだよ。

「なによ。 ミナト班への贖罪の為に生きてたカカシが、自分の為に青春したいって言ったのに・・・・」
「知るか。 けどおれだってテンゾウの為に、そのポニーを恋人にしてやる、って決めてたんだよ・・・・」
「アタシも。そんなカカシの為に・・・・ カカシの恋を応援しようと思っていたの。 ふふ、同じね。」
「ライバルは部隊長か。 補佐、ついてねぇなぁ・・・ ま、勝負は蓋を開けてみるまで分からなねーよ。」

おれには地陸と姉をくっつけた実績がある、紅とカカシにゃ悪いがこの勝負おれの勝ちだ、ポニーはもらった!
なに、カカシなら心配はいらねぇ。 あの顔であの体、あの年であの地位とくりゃ、女がほおっておかねぇよ。
それに紅はおれが幸せにしてやる予定だからな。 二兎追う者は一兎をも得ず、まずは弟分からだ、よし!








お! あったぜ、ここだ。 “ 便利屋【しきちゃん】”・・・てか。 しきちゃんって、シキ上忍??
あの人は暗部の先代補佐だった人だ。 部隊長になる前に退いたと聞いていたが・・・・・ まさかね??
おれは昔から暗部の面々と付き合いがある。 まあ親父の直属の部隊だったからな、家でバカ騒ぎしたりな。
もしシキ上忍が市井に潜る潜入員になってたとしたら・・・・ こりゃー 凄い情報源になるぜ。

シキ上忍は、チャクラ質を色で見分ける眼を持っている人だ。 そうか・・・・ 九尾襲来後・・・・・
木の葉の忍びの数は激減した。 チャクラ質をその身に宿していても、まだ気付かない子供を・・・・
将来忍びになれるかもしれない子供達を。 いち早く見つけてスカウトしていたのかもしれないな・・・・

「そういえばヒグマ上忍はアカデミー長に・・・  二人して玉の育成、か。 こりゃいい、ははは!」
「???? なーに? ヒグマ上忍の知り合いなの??」
「ああ、多分な。 たくさんいい木の葉の忍びが増えたって事を・・・・・ 改めて実感するな。」
「そうね、今は・・・・ 昔の様に・・・・ サクモさんを中傷する忍びは誰もいないわ。」

「ああそうだ。 仲間を信じる事、見捨てない事。 それが木の葉の忍びだ。」
「ええ。 でもそれとこれとは別よ? ポニーちゃんはカカシの恋人にするんだから!」
「ち! なかなか手強いな、おい。」