生駒城の家守 14   @AB CDE FGH IJK LNO PQR S




フンフン・・・・・ ナルホド。 で、紫様のお相手の素性を調べるのがイルカ君の任務なのネ?
・・・・・・変化術紙を? ヘー ちゃんと首尾よくいってたんだネー ン? ヤ、意外だったからサ。
仕事はしてたのネ。 てっきり、がんじがらめで身動きとれなくなってるんじゃないか、って思ってたヨ。

でも、今からは同時進行にするからネ? 雲の任務もイルカ中忍の任務も、どっちも終わらせるつもり。

よく聞いて? 雲の任務は妖の討伐。 国境から雷の国側では、骨と皮だけの死体が何体も出たらしい。
今日、妖の足取りをつかめたのヨ。 どうやらソイツは国境を越えて、火の国側に入って来たみたい。
オレ達の任務は監視兼、討伐の協力に変更。 罪のない民の死を黙認するなんてコト、出来ないじゃない。


「“罪のない民の死を・・・・”  はぁー かっこい〜〜vv」
「「・・・・・・・・・・。」」
「やー 暗部の部隊長クラスは三代目の手足だと聞いてはいましたけど・・・ ひゃぁ〜!」

イルカ中忍はオレ達の面を覗きこんで、尊敬の眼差しを寄越して来た。 チョット、直視し過ぎでショ?
今思ったケド。 モンザ様に預けられた焼き菓子屋のお坊ちゃん、猿飛イルカ君は・・・・ 素なの??
オレの知ってる潜入員は、ほとんどが化けの皮をかぶってる。 本人を知っちゃうと、エ? みたいな。
なんなの、この素のままの潜入員は。 もうチョット化けなさいヨ。 だから惚れられちゃうんでショ?!


「「まだ途中だから。 話は最後まで聞く。」」
「はいっ! 了解ですっ!!  要は、俺はその妖にやられちゃえばいいんですね?」
「「・・・・・・・・・。」」

それはどうなの、猿飛イルカ君。 いや、その通りなんだケド。 結論だけを言えばそうなんだケド!
妖にイルカ君が喰われちゃったコトにしちゃえば、後は好きなだけ動けるでショ? って考えたワケ。
アンタ、仕事出来るのか出来ないのか、ハッキリしなさいヨ! ナニ、打つと響いちゃってんの?

・・・・・・ハァ。 だからか。 三代目が猿飛姓を名乗らせるほど可愛がってる潜入員なのネ?


「・・・・・猿飛イルカ君、ホントはなんて名前?」
「はい! うみのイルカ、階級は中忍です! 里では任務受付所にいます!」
「・・・・・イルカ、って・・・・・ 本名だったんだね・・・・。」
「はい! 無理なく呼びかけに反応できますから! 忍びは裏ばかり読むから表で勝負です!」

「・・・・・・・一応、ちゃんと・・・ 考えていたんだね?」
「む! 俺、下忍の頃から潜入部隊所属ですよ? これでも。」
「・・・・雲の上忍達の葛藤が・・・・ なんとなく手に取る様に分かるヨ。」
「ですね。 疑ったかもしれないけど、こんな潜入員がいる訳ないと思い直したでしょうね。」

「「・・・・・うみの中忍、でも隙があり過ぎ。」」
「ぅ! それはその・・・・・ よく言われます・・・・・。」
「「・・・・・・ぷっ! あははは!」」


まいった。 うみの中忍は、見た目通りの青年で、そのままの性格で。 それでいて木の葉の忍びだった。
例えば猿飛イルカ君が“俺、潜入員なんです”と言っても、きっと誰も信じない。 素のままだから。
こんな鈍感そうで人が好さそうな青年が、忍び? それなら俺も忍びだ、ってツッコまれるのがオチ。
でもそうなんだよネ、忍びなんだヨ。 ・・・・・三代目、マズイです。 オレ達も、ハマりそう・・・・

「・・・・・・ジャ、そう言うコトで、きっちり打ち合わせするヨ?」
「その変化術紙を回収して、そのままうみの中忍は里に帰還して下さい。」
「後をつけてしっかり素性を調査したら、身分をねつ造するなりなんなり、上手くやってネ?」
「はいっ! あ! 着物、お渡しした方がいいですよね、死体に着せるのに・・・・ よ・・・・と。」

「「だから! 隙があり過ぎだって! まずは術紙を回収するんじゃなかったの?!」」
「?? だって、俺、今から殺されるんですよね?? 着てた服をお渡ししといた方が・・・・・」
「「・・・・・そんなに襲ってほしいの?」」


言ったそばからうみの中忍は、身代わり役の骨に着せてあげて下さいと、帯を緩めて着物を脱ぎ始めた。
この聡明さと鈍感さを兼ね備えている潜入員を、もっと個人的に知りたいと思ったトコなんだヨ?
こんなおもしろい忍び、今まで会ったコトないもん。 絶対、テンゾウもそう思ってる。 なのにコレ。

「・・・・・・・・・ぁ。 いえ、そんなつもりじゃ・・・・ ははは・・・・・ マズイですか?」
「ウン。 ねぇテンゾウ。 計画変更でサ、オレ達の慰み者ってコトにしちゃう?」
「いいですね。 ダルイさんの目の前で犯しましょう。 気に入ったから、って。」
「・・・・・・・・・・冗談ですよね?」
「「・・・・・・半分だけ。」」

オー! さっきまでのストリップショーが・・・・ ヤ、かなりテキパキとしたショーだったケド。
うみの中忍は、ほとんど脱ぎかかってた着物をキッチリと着直した。 なかなかのスピードで。 やるネ?