生駒城の家守 4   @AB DEF GHI JKL MNO PQR S




生駒 紫様は、正妻を持たない火の国の大名で有名。 この城を託すのは自分の血ではないと言っている。
自分の志しを継ぎ、まず国の為に何ができるかを考える者にこそ、生駒の名が相応しい・・・ってネ。
国主も三代目も、そういう紫様の血だからこそ、後世に残したいと思ってるんだヨ。 ソレは理解できる。
両里の忍びが緊張していたあの対談の席でも、最後まで威風堂々とした態度だった。 カリスマ・・・だネ。

いくら信用出来る忍びだと思っても、所詮は他里の忍び。 もしも紫様になにかあれば、生きて帰さない。
それに・・・・ ウチの中忍も潜ってるみたいだしネ。 どっちにチョッカイかけても・・・・ 始末する。
雲には散々煮え湯を飲まされて来たからネ。 そんなコト言ったら、ウチの根はどうなの、って話だケド。



「待ってました! イルカ君の作る揚げパン! いただきまーす! もぐもぐ・・・・」
「イルカ君、今度、雲隠れの里に遊びにくればいいよ。 ね、ダルイ隊長? モグモグ・・・・」
「わー 雲隠れの里!! 雷の国の隠れ里ですよね?! いつか行ってみたいです!」
「ははは・・・・ スミマセン、こいつら厚かましくて。 生駒城の客人なのに・・・・」

「そんな事言って! ダルイ隊長が一番食ってるじゃないですかっ! あ、またっ!」
「ダルイこと言ってんじゃねえ、隊長の取り分は多いモノなんだよ。 ガツガツ・・・・」
「かー これだよ。 ボスの我の強いトコロばっか、似ちゃって・・・・」
「あははは! いいんですよ、まだ一杯ありますから。 お好きなだけどうぞ!」
・・・・・三代目から、信用出来る忍びだと聞かされてはいたヨ? ダルイ小隊、寛ぎ過ぎでショ・・・・
ヤツらからみたら、ここは他国の領地の中にある城の中。 その中で嬉しそうに揚げパン食って雑談?
見たトコ、三人とも上忍だよネ? それにナニ? ・・・・生駒城の客人が作ったのを食ってんの?
城に招かれてる客人、って言ったら・・・・ きっとどこかの有名な子息だヨ? ナニ、ナンパしてんの??

「・・・・・テンゾウ。 このワキアイアイ感は・・・・・ なんだろネ?」
「確か、変死体の調査じゃ・・・・ なかったでしたっけ? 雲の任務は。」
「取り合えず。 あの客人が部屋を出て行ったら、ダルイ小隊にご挨拶だネ。」
「なんか、拍子抜けしましたね・・・・ ちょっとだけ構えて来たのに・・・・」


あの客人は・・・・ イイトコの坊っちゃんだよネ? 顔のど真ん中に刀傷があるケド・・・・
まさかコレが例の潜ってる中忍・・・・・ とか? ンー ソレはないか。 雰囲気が忍びとはほど遠い。
チャクラも感じないしサ。 何より雲の上忍三人と雑談してる、って時点で、もう違うでショ。
自分より強いだろう忍び達に、わざわざ自分から関わるなんて、そんな危ない橋は渡らないないと思うヨ。

「あ。 いなくなりましたよ、坊ちゃん。」
「ンー じゃあ、出ますか。」
「・・・・・あの顔の傷。 結構派手ですね。」
「ネ? どっかの忍びにつけられたのかもネ。」

「可愛い顔して笑うのに、もったいない。」
「ウン、愛嬌があるよネ。 自然体だし。」
「・・・・・あれ? ちょっと待って下さい。 ボク達も毒気抜かれてます??」
「・・・・・フフフ、そうだネー。 ア― コレは・・・・ 怪しいネ?」
「「ウチの潜入部隊のヤツかも。」」

フフフ。 チャクラ質が感じられない、忍びが安心する、なんて。 コレって潜入部隊のヤツだよネ。
別件で潜ってる、って三代目は言ったケド。 潜入員を潜らせるほどバレちゃまずいコトを探ってるの??
まさか紫様に限って、他国と通じてるとか、他里の忍びに操られているとか、そういうのはないと思う。
・・・・任務内容は守秘義務があるし。 ま、くれぐれもジャマはしない様にと、言われてるからネー。

「ヤ、ドーモ! 今回、生駒城で待機する事になったんでネ。 ヨロシクー!」
「木の葉の暗部からボク達二人が、皆さまの帰国までご一緒させて頂きます。」

「やっとお出ましですね。 調査隊の上忍 ダルイです、こっちの二人も。」
「「モゴモゴ・・・・ ヨロシク・・・・ ゴックン・・・・」」
「スミマセンね、コイツら口一杯詰め込んでて・・・・」

「フフフ、アンタがダルイ上忍だネ? 三代目が褒めてたヨ。」
「さすがダルイさん。 ボク達の到着に気付いてたんですね。」
「はあ、まあ・・・・ ダルイんですけど、一応ボスの右腕なもんで。 スミマセン。」

三人の内、揚げパンを最初にガッツリ食べて、オレ達の出て来るのを待っていたこの男が、ダルイか。
ヘー あの雷影の右腕ねぇ・・・  オレ達暗部の部隊長も、火影様の手足と言われてるんだヨ。
オレ達の面の種類を見ただけで、ソレは分かってるよネ。 だから主張してるのかな、腕の雷の刺青を。
互いの名にかけて、今回は純粋な調査だ、そう言いたいんだろうネ。 確かに。 デキルね、この男。

「ところで、その揚げパン、もう残ってないの??」
「あー スミマセン、コイツらが全部平らげちゃったんで。」
「それは残念。 雲の上忍が口をつける物なら、安全だと思ったのに。」

「「一番食ってたの、ダルイ隊長でしょう?!」」
「だりーな・・・ バラしてんじゃねーよ・・・・・ スミマセンねー。」

凄いネ? イルカ君・・・・だったけ?? しっかり雲忍を餌付けしちゃってるヨ。 城に溶け込んでるネ。
ひょとしたらこのダルイという男だけは・・・・・ 気付いているかもしれない。 一番食ってたケド。