へー 不老不死研究で？ 人工的に初代様の細胞を移植されてたの。 それはそれは・・・・・。
三代目が助命をした子供は、いわくつきの子供。 柱間細胞の移植実験の生き残りだとか。
赤ん坊を攫ってきたか買って来たか、とにかく “根” を隠れ蓑に実験してた大蛇丸は里を抜けた。
フーン？ だから？ そんなの気にするヤツはココにはいないヨ？ 使えるか使えないか、二者択一。
しぶとく生き延びるかとっとと死ぬか、それしかない部隊だからネ。 ようこそ、暗殺戦術特殊部隊へ。
かくいうオレも、他人の眼を拝借してるし？ ま、コレは今ではオレの一部みたいなモンだケド。
オレのせいでコレの持ち主が死んでサ、死に際に後を託されたソイツの思い人さえ守れずに。
元々が天才なんて呼ばれて、そこそこ期待されてたしネー。 泣き言なんて言えないじゃないの。
オレ達忍びが今を生きてるってコトは、常に誰かしらの命の上に成り立ってんのヨ、違う？
「コイツなんて、超人間離れしてるヨ？ 死の気配を感知しちゃうんだからネー。」
「こらこら。 三途の河の向こうのお花畑で花を摘んだ奇跡の人、と呼んでくれる～？」
「・・・・・・お花・・・・ 畑って・・・・」
「あとサ、この女なんて自里のビンゴブックに載っかった女ヨ？ あり得ないでショ？」
「ちょいと！ ついこの前まで、って所が抜けてるよ！ 取り下げられたじゃないかっ！」
「ぇ、木の葉のビンゴブックに？！」
「そんでコッチは、元、他里のヤツ。 冷凍保存されてた経歴を持つ驚きの忍び！！」
「・・・・おい。 人を年齢不詳のように言うな。 程なく三代目が戻してくれただろ。」
「他里の忍びなんですか・・・・？」
そうそう、だからサ。 勝手に被験者にされた挙句、失敗作は証拠隠滅とばかりに川に捨てられても。
そんなのよくある話じゃないの。 もう、そこら辺に転がってて掃いて捨てるほどいるのヨ。
“そこら辺”は言い過ぎかもしれないケド。 要は、人の生を己の生と比べんな、ってコト。
「柱間細胞移植の被験者がよくある話って・・・・・ ぶっ！！ あはははは！！」
「自分が一番辛いだなんて甘ったれる時間はお終い。 こうして生きてるんだから。」
「辛辣だけど腕は確かだから～ 一応カカシが元気づけてくれてるの、分かるよね？」
「口八丁手八丁だからねえ、カカシは。 あんたもこき使われない様にしなよ？」
「・・・・頼まれてもいないのに女と寝る奇特な奴だがな。 ・・・・ふっ。」
「ムッ！ 頼まれたら誰とでも寝る男よりマシでショ？！」
「どっちも世の女の敵だねえ？」
「あははは！ 言えてる～！」
「ぶははははは！！ ・・・・・こんなに笑ったの、久しぶりですボク、クスクス！」
ま、そういうワケだからサ！ どこの隊に配属になるかはわかんないケド、ヨロシクー！
テンゾウは木遁を操れるんでショ？ どの隊に配属されてもめちゃめちゃ重宝がられるヨ？
木遁忍術でログハウスとかの木造建築物なんか、ちょちょいのちょい、で建ててくれるよネ？
土の中に貯蔵庫もいい！ 木の上に秘密基地とか！ 渓谷を繋ぐ橋をかけちゃたりサ！
「・・・・えー そこまでは思いつきませんでしたが・・・・ 多分できると思います。」
「やっぱりネ！！ 大陸でも指折りの建築士になれるんじゃないの？！ フフフ！」
「あはは、それこそ、言いすぎですよ！」
「早速乗せられてるよ・・・・・」
「大工の暗部か。 ・・・・ふっ！」
「カオル～ そんな身も蓋もない言い方、やめてあげてよ～」
・・・・・身も蓋もない言い方といえば、オレもあるヨ？ 戌部隊長のカカシは写輪眼泥棒、とか！
猫部隊長のコウは死にぞこないで、猿部隊長のカオルは冷血動物、酉部隊のアズサは肉親殺し！
ま、そんなのがゴロゴロいるのヨ、ここはサ。 そこに実験体が加わっただけジャン。 でショ？
面で顔なんか隠してるケド、もうバレバレもいいトコ！ とにかく一発芸的な生い立ちは必須！
抜け忍大蛇丸の作った失敗作の実験体、面白いじゃないの。 ・・・・そんなんに負けてくたばんなヨ？
「・・・・・・一発芸って・・・・」
「「「分かりにくいけど、これでもカカシは仲間思いだから。」」」
「チョット！ “これでも” は余計なのっ！」
「ぶっ！ ボクにとっては、とっても分かり易いです。 ふふふ！」
その後、猫部隊に配属になったテンゾウはメキメキと頭角を現し、今では猫部隊長を襲名してる。
なんだかんだ皆、戦い方は違えども。 オレ達暗部の長は根本的な考え方が酷似してるんだよネ。
言いたいヤツには言わせておけ、的な考え方がサ。 でも今・・・・ その根本的な考えが覆った。
・・・・誤解される話し方しか出来ない自分が恨めしいヨ、なんでこういう言い方しか出来ないの？
言いたいヤツには言わせておけ、それはつまり、誰にナニを思われても平気、ってコトなんだケド。
あの忍びには・・・・・ アンタが嫌いで言ったんじゃないの、って分かってほしいなんて。
・・・・ネ、テンゾウ。 今のサ。 オレの今の言葉。 あの忍びを傷つけちゃったかな・・・・？
