愛する事が罪ならば 13   @AB CDE FGH IJK MNO PQR S




奉公人として一緒に潜っていた木の葉の忍び、カモフラージュで雇っていた奉公人を全員殺した。
これは言い訳だケド、殺してやれてよかったと思ってるヨ、ホント。 今回は特に・・・・ ネ。
おかしいと思ったヨ、誰一人抵抗しなかったし、逃げなかったもん。 泣いてるのに喜んでもいた。

深月上忍も皆の死を確認して、心底ホッとした顔で笑ったし。 なんでかな、って思ってたら・・・・
あの人だけじゃなかったんだヨ。 店の奉公人全員が、あのマフユとかいう中忍の術で縛られてた。

チョイチョイ、っとネ。 口を割らせてみたのヨ。 記憶をさかのぼる幻術を岩忍にかけてネ。
その幻術の中にいるヤツらは、まだ木の葉に知られてないと思って、普段通りの会話をする。
オレとテンゾウが深月上忍や店の奉公人のフリをして話しかけると、それはそれは楽しそうに。

思考と行動を縛る術は面白しろいケド、コピるのは勘弁。 こんな術、オビトの写輪眼に映したくない。
相手に隙がなきゃ掛からない術、こっちから願い下げだヨ。 隙があるなら斬った方が早い、でショ?

意に添わずに木の葉の忍び狩りを手伝わされていたんだ。 深月上忍が首をはねた忍びに対して。
深月上忍が首を落とした任務帰りの忍び達。 首はアイツらの部屋に届けられ、胴体は奉公人が解体。
アイツらにとっては単なる余興だケド。 一般人にしてみれば死にたくなるような拷問の繰り返し。

笑ってたのは正気を失ってたからだネ。 忍びは拷問に慣れてるケド、普通の人はそうじゃないから。
首のない死体を解体して、その肉を食らい血を飲む・・・・ なんてサ、拷問以外どう表現すればイイ?

奉公人のフリしてた潜入員も同じく、仲間の遺体をバラバラにして、挙句その肉を食わされてた。
何度も自害しようとしただろうネ。 でもそうすると、近くにいる奉公人を殺すハメになると知ってる。
一般人は早々に心が壊れ、泣き笑い人形に成り果てるケド、意識のある潜入員にとっては生き地獄。

深月上忍をはじめ、夢やに潜っていた潜入員達は、一刻も早くこの現実を終わらせたかったはずだヨ。
・・・・・・こんなの、一般人や同胞を手にかけたオレ達の行動を正当化してるだけだと分かってる。
卑怯者、その通りだヨ。 そんな地獄に耐えてた仲間や一般人のコトを、裏切り者だと公表するんだから。




木の葉の暗部が討伐に動いた。 岩隠れの忍びに金銭をもらい内通していたのは呉服屋の夢や。
主人を筆頭に働いていた奉公人の行動は木の葉への裏切り行為。 一人も洩らすことなく処刑したと。

画策していた岩隠れの忍び五人の首を、真相を添え岩隠れの里に送れば。 岩は何も反論できないヨ。
自分達の体裁を守る為についた小さな嘘が、自里の忍びにいらぬ狂気を植えつけたのだと知るからネ。
それに、岩の首はたった五つ。 木の葉側は潜入員を入れて十三、一般人を含めると二十を超える。
その事実を知ればサ、いかな岩隠れの上層部でも、沈黙を守らざるを得ない。 ・・・でショ? 




岩忍五人を始末して深月上忍が入った部屋を訪れる。 予想通り、誇り高い忍びの死が待っていた。
木の葉の忍服に着替え、多分、この店に一緒に潜っていた忍びのだろう、四つの額当てを握っていた。
自分の額当ては綺麗に頭に巻いていたヨ。 これが木の葉の忍びの正装、そんな風にキッチリとネ。

自室に戻ってから書いたんだろう。 見れば深月上忍らしい最後の言葉が書かれた遺書があった。



【帰りたいと願えども 彼の地を踏むは己の恥 恥を忍んで思い馳せるを ただ今は望むのみ】


全ては己が元凶、里に戻りたいなどと言えない。 ただここで里の忍びとして逝くコトを許してほしい。
・・・・そんな感情が伝わってくるネ、テンゾウ。 残念だケド、あなたの最後の願いは叶いませんヨ。
この店はもちろん燃やします。 ナニもかもを無にしますヨ、跡形もなく。 巣の清掃任務ですからネ。

オレ達は正規の忍びに恨まれてナンボ、です。 誇り高い上忍の最後の願いも無視しちゃいますから。
この額当ては全部、持って帰ります。 イイじゃないですか恥でも。 帰りましょうヨ、木の葉の里に。

それにネ、あなたの助けたイルカさん。 あの潜入員の彼に、ますます嫌われるじゃないですか。
なんでかあの潜入員のイルカさんには・・・・・ ホント、どうしてだか。 理解してほしいんです。
・・・・・オレ達は卑怯者ですから。 イルカさんに対する言い訳をなんとか用意したいんですヨ。

「・・・・あー そうか。 ボク・・・・・ 今、イルカさんに対する言い訳を考えてました。」
「・・・・ウン、オレも。 当事者にはちゃんと事実を伝えようかなー、なんてサ。」
「・・・・・・・・まいったな、そうか。」
「・・・・・・・・ネ? ビックリだヨ。」

「「・・・・・・・・・・・・。」」



この感情がなんなのか、オレもテンゾウも薄々気づき始めました。 でも口には絶対に出しません。
こうやって今迄、何人の同胞を手にかけたと思います? これが己の罪に対する代償だと思ってます。
命を狩るコトを生業とし正当化しているオレ達にとって。 愛を求めないコトが唯一の罰なんですヨ。